【青姦小説】農村の掟 故郷の雪祭りの日、野外で処女喪失した優等生(前編)

わたしが生まれ育ったのは、ある北国の片田舎だ。昔ながらの山がちな農村地帯で、都会とは完全に切り離されたような地域だった。

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それは距離的な意味だけではなく、文化的な意味でもそうだった。都会の流行などは何の意味も持たず、むしろ昔からの風習の方がよほど影響力が強かった。
最近よく田舎への移住でのトラブルが問題になっているようだけれど、仮にわたしの故郷が受け入れをやったらどうなるかは火を見るより明らかだ。そのくらい、江戸時代あたりからの習慣や考え方が根強く残っていて、ムラとしての集団意識も強かった。

かつてわたしが処女を失ったのも、そんな村の習慣によるものだった。
わたしの村では、セックスを奨励する気風が極端に強かったのだ。
ある程度の歳になって、童貞や処女のままでいるなんて、考えられない。それを捨てて初めて一人前と認められる、そんな村だった。
セックスが心から好きというならともかく、そうでないなら理不尽以外の何物でもない。

元を辿れば、この気風は近代以前からのものらしかった。村を離れようにも離れられなかった当時は、働き手を維持するという切実な事情があったらしい。
もっとも、飢饉が起これば平気で口減らしをしていたらしいから都合のいい考え方だとは思うけれど、いずれにしても昔は必要に駆られてのものだったということだ。
逆に言えば、今の時代には何の意味もない考え方だった。そもそも土地にしがみつく必要がないんだから。

けれど、一度根付いた価値観は、そうそう変わりはしないものらしい。
子供をつくるという意味合いこそ薄れていたけれど、それでも身体に性的な機能が残っている年代はセックスに励んでしかるべきという、そんな考え方が今の時代になっても現役で生き残っていた。
古臭いにもほどがあるけれど、あるものはあるとしか言いようがなかった。

とはいっても、表だって強制されるようなことはないし、もちろん強引に犯されるようなこともない。今の世の中でそれをやったら完全に集落ぐるみの犯罪になってしまう。
けれど、代わりにあったのは、集団としての暗黙の了解だった。
さすがに幼い子供たちは例外だったけれど、あるところまで年齢が上がると、容赦なくムラ社会の目にさらされた。
周囲からの無言の期待とプレッシャーはかなりのものだったし、未経験のままの人への蔑視の視線は、子供心から見てもひどいものだった。
だから、周囲に合わせようとする限りは、どうやってもある程度の年齢になったあたりで、男性なら童貞を、女性なら処女を捨てることになるのだ。

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その年、わたしはまさにその、処女を失って当然というべき年齢になっていたけれど、まだ未経験のままだった。
両親はいかにも田舎生まれ田舎育ちといった風情の素朴な人間で、わたしには優しかったけれど、その一方で集落の文化は骨の髄まで染み付いていた。

「おめえも大きくなったなァ。もう大人だぁ」

お父さんが台所で、訛った声で言っていたのを思い出す。その裏の意味は、わたしもよくわかっていた。いいかげん処女を捨てろ。そういう話だ。
もちろん、悪意は微塵もない。普段から親子仲はよかったし、その言葉も村の中でのわたしの立場をおもんばかっての言葉だった。
一般的には非常識であっても、あの村ではそれが当たり前だった。

そして、そう思っていたのは当時のわたし自身も同じだった。
だから、その時期、焦りは相当なものだった。

わたしはこれでも学校では優等生だった。優等生とはいっても、その当時すでに廃校も検討されているような学校の、少ない生徒の中での話だからたかが知れているけれど、それでも勉強も生活態度も真面目なものだった。
実際に、先生たちに褒められることも珍しくなかった。
ただ、その真面目さは、村の習慣に対する疑問には結びつかなかった。
処女を失うことを周囲から要求されるという環境に、わたしは何の疑いも持っていなかったのだ。
葛藤はあったのだけれど、それはあくまでセックスという未知のものへの不安感であって、そんな形でセックスするのがどうなのかとはまったく、不思議にさえ思わなかった。

もちろん、こんな田舎でも、まったく情報が入ってこないわけじゃない。
だから、今の時代に自分たちの村の文化がどんなにおかしなことなのか、それは理解していた。
けれどその一方で、わたしは自分がその理不尽に身を投じようとしていること自体は当然だと思っていた。
なにしろ、周りの親たちも同級生も、身近な人はみんなそれを当たり前に受け入れているのだ。違和感を感じるにも、限度があった。
こういう土地に生まれたんだもの、やっぱりルールには従わなきゃ。当時わたしはそんな風に思っていたように思う。それは義務感に近かった。
むしろ優等生だったから、余計に疑問を抱かなかったのかもしれない。
逆に私がなにかの手違いでグレていたとしたら、さっさと家出でもして、こんな村は飛び出していたことだろう。

ただ、焦ってはいたものの、だからどうなるというものでもない。処女を失おうにも、わたしには相手がいなかったからだ。
生徒数がただでさえ少ない我が母校では、既にほとんどの男子には相手がいた。
田舎の濃い付き合いの中では、くっつくような者同士はあっという間にくっついてしまう。
そして、わたしはその輪から完全にあぶれてしまっていた。女友達はいたけれど、男子との付き合いがあまりなかったのだ。
かといって、わずかに残った独り身の男子を誘うほどの度胸はなかった。
その子たちは村の外れもので、それこそ先に言ったグレた人たちだったからだ。
今にして思えば、彼らの方がよほど健全だったと思うけれど。

「そのうちいい男、できるって」
「そうそう、あんた普通にかわいいんだしさ」

女友達たちはそう言ってくれていたけれど、その頃のわたしはもうその言葉を素直に受け取ることはできなくなっていた。
影で、わたしのことをバカにしているに違いない。そう思っていたし、村の雰囲気からいって、その可能性は決して少ないとは言えなかった。決して被害妄想ではなかったと思う。好意的に見ても、彼女たちの声には明らかに勝ち誇った響きがあったし、その目線はどうみても格下の存在を眺めるような雰囲気だったからだ。

どうしよう。わたしはその当時、そんなことばかりを考えていた。
村のルールを理解していながらそれを守れない自分に、苛立ちを覚えた。
でも、わたしにできるのはその時に向けての準備だけだった。毎晩、学校から帰ったあとの勉強時間、飽きてくると休憩も兼ねてわたしはスカートの中に手をいれて、自分の股間をまさぐった。
本番までに、しっかり濡れるようにしておかなきゃ。目途さえ立っていないのに、気が急いていたのだ。

最初は直接触ると刺激が強すぎたけれど、すっかり日課になっていたその頃には、もう慣れていた。
下着の上から触っているだけでもじっとりと湿って来る。そこで下着をずらして指を突っ込む。とろとろだった。
でも、気持ちは確かによかったけれど、その行為に思い入れはなかった。身体の勝手な反応という感覚で、自分の意識の上では、やっぱりそれは本番へ向けた訓練のようなものでしかなかった。

もう、これで処女を失ったってことにしてもらえないかなあ。わたしはそんな風にさえ思っていた。
散々指を突っ込んでいじっていたから、もう処女膜そのものは破れていたかもしれなかったからだ。
ただ、本当に破れているかは自分でもわからなかった。その痛みを感じたことがなかったからだ。ただ、気持ちいいだけだった。
しばらくどろどろになった中をこね回していると、やがてひと際鋭い、足がひきつるような一瞬がやってきて、愛液がどっとあふれてくる。それをそそくさとふき取り、わたしの日課は終わるのだ。
どうしようもない倦怠感を抱えて、勉強に戻る。ときどき、受け止め損ねた愛液が床のじゅうたんに染みてしまったときなどは、その倦怠感は頂点に達した。

そんなふうに訓練の方はいたって順調だったけれど、いくら身体が開発されてきても、現実の方が進展しないなら何の意味もない。
焦りが募るところまで募った頃、わたしは自宅から学校に向かう途中に立っているお地蔵さんに、願掛けをするのが日課になっていた。
そのお地蔵さんにそんなご利益があるとは聞いたことはなかったけれど、それでもすがらざるを得ないくらいには、わたしは気持ちが追い詰められていたのだ。
優等生根性もここまでくると滑稽だけれど、当時はそんなことには気づいていなかった。
もちろん、そのご利益が一向になかったのは言うまでもない。

そこで、わたしが最終的に思いついたのが、間近に迫っていた雪まつりの日に賭けることだった。
とはいえ、その祭りがカップルができやすい傾向があるとか、そういう話ではない。
わたしの思いつきは、常識的に考えればおよそまっとうとは言い難いものだった。

地元では、年に何回かお祭りが催される。
雪まつりというのは、そんな祭りの中の一つだ。もちろん通称で、名前の通り冬に行われる。
雪まつりと言ってもやはり都会のそれとは全然違ったものだ。
雪だるまが並ぶようなこともないし、外から観光客が来るようなものでもない。あくまでも地元の土着的な祭りに過ぎなかった。

行事としては、村にある小さな湖に小舟を浮かべての豊作や子々孫々の繁栄を祈願する儀式。
そしてそのあと、降り積もった雪の中山のふもとをたいまつを掲げて行軍してみたり、そういった感じだ。

いかにも田舎といった感じのお祭りではあったけれど、その雰囲気は嫌いではなかった。
雪の降る中での湖での儀式は、寒々しかったけれどどこか神秘的だったし、真っ白な地面と真っ暗な夜の闇の中でたいまつの炎だけがチラチラと頼りなげに揺れる様子は少し幻想的だった。
まだ幼かったころから、わたしはロマンチックだなあと思っていた。

ただ、問題は行事自体ではなかった。
このお祭りには、ある噂があったのだ。
お祭りが終わった後、村の有志が乱交に励むらしい。そういう話が、学校の主に男子たちの間でささやかれていたのだ。

まっとうな考えではないと言った意味がわかってもらえるだろう。よりによって、わたしは、その噂話に乗ってみようとしたのだ。
それを決心した日、わたしはいつも以上に激しく、勉強部屋でオナニーをした。もちろん、それも義務感に過ぎなかった。

もちろん、それは噂話もいいところだった。少なくとも、わたしの周りには現場を直接目にした人はひとりもいなかったのだから。
けれど、よくよく考えてみたら、先輩から伝えられたというその噂はまんざらあり得ない話でもなかった。

過去の雪まつりの後の数日間を思い出してみると、村人たちの間でそういう話が流れるのを耳にすることがあったのだ。
その日にだれだれが乱れたらしいぞだとか、おお、スケベなこっちゃ、というような、そういう会話。
道端で交わされていたそうした会話を、わたしは何気なく聞き流していたのだけれど、考えてみたら変だった。
普通にカップル同士、夫婦同士でセックスしているだけなら、そんな細かい情報が流れるとは考えづらい。

興味をもったわたしは、いろいろ噂の周辺をさりげなく聞きだし、調べてみた。
もちろん推測だったけれど、語られている内容を総合すると、どうも本当にそういうことをしている人たちはいるらしかった。
おそらく参加者の人たちは、身内にでもそういう話を誇らしげに語ったんだろう。だから噂になってしまったのだ。
いくら身内だけに話すとはいえ、話題の少ない田舎だ。噂の広がり方の速さは言うまでもない。

それなら、祭りの日に居残ってウロウロしていれば、もしかしたらそういう人たちが目をつけてくれるんじゃないだろうか。事後の噂だって、勝手に広がってくれるだろうから手間も省けるし…
わたしはそう思ったのだ。

やるやらないはともかく、そんなことを思いついてしまう時点で、既にわたしはどうかしていたともいえる。
どこの世界に初体験で乱交しようと発想する女子がいるというのか。
けれど、とても残念なことに、それをわたしはいい考えだと思ってうたがわなかった。
セックスへの思い入れや憧れ自体はまったくなかったから、かえってそんなことを思いつけたのかもしれない。
わたしの目的は、ただ処女を喪失すること、それだけに過ぎなかったのだ。

雪祭りは毎年、年が明けてしばらくたった頃に行われる。
あまりに雪の降り方が激しいと延期になるけれど、不思議とそれはほとんどなかった。

実際に、その年の雪まつり当日は軽く雪が舞っていたけれど、この程度なら決行は間違いなかった。
わたしはしっかり服を着こんでいたけれど、その一番下には敢えてミニスカートを履いていた。
もちろん、目的はいざという時誘われやすいんじゃないかという、それだけだった。
下着も、できるだけ大人っぽい新品を身に着けた。
さらに言えば、前もってピルも手に入れて飲んでいた。男の人はいざとなると我を忘れると聞いていたからだ。
準備は万端だった。

「じゃあ、行ってきます」
「ああ…気ぃつけてなぁ」

その日の夕方、わたしは一人で行くと言い張って、家を出た。顔にも多分、緊張がはっきり出ていただろう。
期するものがあるというのは、両親には見え見えだったと思う。
両親は何も言わなかったけれど、どこか神妙な、心配そうな、…でも誇らしげな、そんな顔をしていた。
わたしが初体験しようとしていることは、何となく察していたかもしれない。それは親にとっても喜ぶべきことのはずだった。
ただ、もしそうだったとしても、おそらく彼氏がようやくできたんだと思っていたと思う。
いくら村の習慣に毒された親とはいえ、まさか一人娘が乱交してまで処女を失うことを考えているとは思っていなかったはずだ。

濃い訛りの残った親の声に見送られ、わたしは一人、玄関を出た。
少しだけ心細くなって振り返りたいくらいだったけれど、無理をして前を見たまま道に出た。
何とも言えない気分だった。

分かれ道には、いつものお地蔵さんが立っていた。
見慣れたお地蔵さんはこんもりと雪をかぶってどこか寒そうに見えた。

(行ってきます)

この日、わたしはもう願掛けはしなかった。もし予想が現実になるとしたら、もう神頼みをしている段階じゃない。
そのかわりに、心の中で挨拶した。次にこのお地蔵さんの前を通る時には、もしかしたらわたしはもう処女じゃないかもしれない。
そうであってほしい。もう、こんな追い詰められた気持ちから解放されたい。
まがりなりにもお祭りの日だというのに、その日のわたしには焦りと緊張感しかなかった。

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