湖での静かな儀式は、雪がこんもりと積もって白くなった雪山をバックに行われた。
湖に浮かんだ小舟の上で、この村伝統の派手な衣装に身を包んだ男性が、腕を振りかざして踊るように祈る。もちろん気温は冷え切っていて、しんしんと身体が冷えてくる。それに、見物客は多いけれど、不自然なくらい静かだった。
そんな中での儀式はなんとも寒々とした光景だったけれど、そのアンバランスな様子は毎年のことながら景色に映えた。
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でも、わたしは気もそぞろだった。
その後のたいまつを掲げての行進も、綺麗ではあっても全然集中できなかった。
この後自分が体験するかもしれないことの方にすっかり意識が行ってしまっていたのだ。
時間の感覚さえおかしくなって、いつまでもいつまでもこの行軍が終わらないような気さえした。
それでも、いつの間にか終点についていて、行進は終わった。
祭りとしての公式の行事はここまでだけれど、何もなかった。
とはいっても、もともと終わってからという話らしかったから、これは想像どおりだ。
問題は、この後どうすれば、その乱交男たちに出会えるのかだ。
そして、それらしいきっかけには目星はついていた。そもそも、そんな可能性がありそうなのは、一つしかなかった。
この後集会所で催される、地域の大人たちの飲み会だ。
こちらはお祭りの正式行事ではないこともあって、いくらこんな村でも参加する人は限られていた。
地域のお酒好きや騒ぎ好きだけが集まるという感じだ。
わたしが入れてもらえるだろうかと思ったのだけれど、話を聞いていた限りでは、お酒さえ手をつけなければ、それは大丈夫らしかった。
さて、どうなるだろうな。予想が予想に終わらないことだけを祈りながら、わたしは集会所に向かっていく大人たちの集団の後についていった。
みんなさあお酒を飲むぞと言った雰囲気だったけれど、よくよく見ると身体の方は小刻みに震えていた。
雪の降り方は大したことはなかったけれど、その夜の気温は北国育ちのわたしたちでも凍えるほどだったのだ。
それなりの人数はいたけれど、行列の時よりはかなり人が少なくなっていたこともあって、余計に寒さを感じた。
集会所は、少しだけ森の中に向かう道路を入った、その先にある。
参加する大人たちはもう毎年のことで慣れているのかずんずんと進んでいったけれど、わたしにはとんだ悪路だった。
雪には慣れっことはいえ、積もったまま残っている量が村の中心部よりもかなり多い。脚を取られて、進みづらかった。
でも、その時のわたしには、あまり気にならなかった。
一度だけこけて雪まみれになってしまったものの、それでも無事集会所の玄関までたどり着いて、わたしはようやく一息ついた。
大人たちはもう先に集会所の中に入ってしまったらしい。
集会所を改めて眺めてみた。バブル時代に建てられたというこの建物は、集会所とはいうものの、こうやって見るとかなり大きかった。
実際に祭りに限らず、村で何か行事がある時にはまず間違いなくここが使われているくらいだったから、部屋も複数ちゃんと用意されている。
入ったことがあるからわかっていたが、建物の内部もいたって近代的だ。
ただ、昔の日本建築をイメージしたせいか、外観だけをみれば古めかしい寺院のような雰囲気さえ漂っていた。
そんな威圧感のある建物が森の中にいきなり立っている様子は、昼間ならまだしも、こんな夜に見るとただただ異様だった。
もっとも、そう見えたのはその時のわたし自身の気分的な問題も大きかったと思う。
もしわたしの推測が当たっていたら…この玄関を入ったら、何かが変わってしまうかもしれない。単に、処女を失うという事以上にだ。
猛烈な寒さの中で、わたしは集会所のドアを見据えたまま、立ちすくんだ。今になって、怖くなってきたのだ。それはむしろ正しい反応だったと思う。後から考えたら、それは、わたしがうまれてはじめてこの村の風習に疑問をもった瞬間だったのかもしれない。
空気を切り刻むかのような鋭い風の音と、それに吹かれて森の木々がざわざわする音だけが、あたりを満たした。
でも、もう引き返すという選択はなかった。
雪をコートから払落し、わたしは集会所の扉を開けた。
中に入ると早くも暖房が効き始めていた。
すでにストーブまで入っていて、そこに一団が集まっていた。
設定温度を上げられるだけ上げているのか、ものすごい音がした。
わたしも、ストーブのところにいる一団に混ざってみた。
「ふう、生き返るわぁ」
誰かが、ストーブに手をかざしながら言った。
わたしも同じ気分だった。みんなとおなじように、ストーブに手をかざしていると、かじかんだ手が少しずつ感覚を取り戻していく。
赤々と燃えるストーブの炎をみつめるみんなの顔に、少しずつ生気がよみがえっていく。
外からは、激しい風の音が聞こえてくる。雨戸ががたがたと揺れる。
ビュービューというその音は、妙に耳に残った。
暖房とストーブの相乗効果はかなりのもので、すぐに部屋は温まってきた。
「珍しいお客さんがおるなぁ。酒は飲ませられんぞ?」
一人のおじさんが、明らかに場違いなわたしを見つけていった。
「いえ、大丈夫です。ただ、一度どんな感じなのか参加してみたいって思いまして」
「ああ、そんならええわ。まあ、食いもんもあるから、それだけでも食ってけぇ」
おじさんは文句をいうようなことはなく、わたしはホッとした。
これで、堂々と場にいることはできそうだ。
あとは…噂が真実かどうか、それだけだ。
宴会は、ほどなく始まった。
いざ始まってみると、思ったよりも人数は多かった。広間が人で埋まっている。
お酒好きも少なくない村ではあったけれど、それでもこんなに集まるんだ。わたしはこんな場にでるのはもちろん初めてだったから、意外だった。
それでも、みんながみるみる酔って饒舌になっていく雰囲気は、思ったよりも楽しい雰囲気だった。
ただ、何人かは羽目を外している人たちもいて、その人たちはどうなのかと思った。
いい気なものだったと思う。考えてみたら、わたしの本当の目的は、羽目を外すどころの騒ぎではないというのに。
飲み会はどんどん盛り上がっていった。
ただ、セクハラらしきことをしている人はいても、それ以上のことは一向に起こる様子がない。
わたしはだんだん、じりじりしてきた。ここまできて、あの噂が嘘だったら。
さっきあれだけ怖くなったというのに、わたしはすっかりそのことを忘れていた。
誰か、それらしい人はいないかな。変な動きをしてる人は…
でも、そんな人は見当たらなかった。焦りがたかまったせいか、いつのまにかわたしは服の下で、薄く汗さえかいていた。
人の熱気に加えて、暖房も相変わらずものすごい噴き出し音を立てていたから、それもあったとは思うけれど。
ひととおり目の前の料理も食べてしまったわたしは、立ち上がった。
全身がすっかり熱くなって、頭がくらくらしてきたのだ。
少し廊下で涼むつもりだった。
広間の中と違って、廊下には人けもなく、温度も低かった。
身体が、急速に元の体温を取り戻していく。気持ちがいい。けれど、わたしの気分はすっかり盛り下がってしまっていた。
これは見込み違いだったかなあ…でも、だとしたら、どうしよう。
頭では噂だからと思ってもいたけれど、やっぱり期待していたのは確かだ。
今日で悩みに一区切りつくと思い込んでいただけに、わたしは落胆してしまった。
もしそうなら、ここにいても仕方がない。トイレにでも行ってから帰ろうか。
そう思って、廊下を歩きだそうとしたときだった。
「…おめぇ、したいんか?」
いきなり肩に手を掛けられた。
来た、と思った。
落ち込んでいた気持ちが急激に緊張感と喜びに変わっていくのが分かった。広間にいた間、わたしは無意識に、よほどものほしそうな眼をしていたのだろう。少なくとも、わたしの意図を赤の他人が読み取れるほどには、内心が顔にでていたのは確かだった。
ふだんだったら恥ずかしくて死にたくなるところだけれど、その時わたしは、自分の背後にいるその相手に感謝していた。これで、長かった悩みの毎日からも解放される。それだけしか、考えていなかった。
振り返ると、そこにはかなり若い男性が二人、立っていた。
見たところ、特に特徴のない二人連れだ。背はわたしよりもはるかに高かったけれど、おとなしそうというでもないし、かといって活発そうな感じでもない。
雰囲気がまったく掴めない二人だった。
少なくとも、乱交するような人たちにはまったく見えなかった。
本当に、この人たちなんだろうか。わたしは疑問に思った。
ただ、乱交男かどうかはともかく、誘ってきているのだけは確かだったから、とにかく初体験を済ませたいわたしにとっては大した問題ではなかった。
それに、向こうからすると、わたしの気持ちはとてもわかりやすいものだったようだ。
一人が言った。
「ははは、間近でみると、余計にわかるわぁ」
「な、何がですか?」
わたしは、つい強気な声を出していた。
思えば、そういう素直じゃない所が、わたしが学校の恋愛の輪から外れてしまった遠因かもしれない。
「ぶわっはっはっ…」
いきなりもう一人の男性が笑った。わけもわからず黙ってそれを見ていると、もう一人が言った。
「いやあ、それだけはっきりわかんのに、まだそんな声だすかぁ。いいわいいわ、威勢がいいのは」
「…」
「…ヤりてえんだろぉ?」
いざハッキリ言われると、わたしは口ごもってしまった。
もじもじしているわたしをおかしそうにその二人は眺めていたけれど、やがて言った。
「上着、取って来いやぁ」
「着こんでこいよぉ。やめるんじゃなきゃな」
何を言っているのかわからなかったけれど、彼らがその気になってくれているのは確かだった。
噂通り、これなら夜が明けるころには、わたしの悩みは解消されている。
そう思うと、わたしは躊躇しなかった。広間に取って返し、ハンガーにかけていた上着を取る。
見とがめられるかとも思ったけれど、呑んでいる人たちは既に出来上がっていて、わたしを気にかける人は一人もいなかった。
廊下に戻ると、彼らはわたしの手をとって歩き出した。
「あ、あの…」
「どうせ、噂聞いて来たんだろぉ?冒険でもしたくなったかぁ?」
「…」
「ま、それは聞かんわ。事情がどうだろうが、あんたみたいな女の子、ヤれるのはこっちも大歓迎だからなぁ」
「…そ、そうですか!?」
「はは、そりゃそうよ…噂が広まるのも悪いこっちゃないわ。ただな…まさか大っぴらにヤってるわけないだろぉ?」
「そうそう」
言われてみればその通りだった。
いくらこんな村とはいえ、堂々と乱交なんてできるわけがない。本当に有志の秘かな集まりだったんだろう。
タイミングをみて、抜けだしたりしているんだろうか。
でも、それはわかるけれど、わたしをどこに引っ張っていくつもりなんだろう。
彼らの家にでも連れて行ってくれるのか。
そう思っていると、一人がつぶやくような小さな声で言った。
「ましてや、あんたみたいなのとヤってんのなんて、な。仲間にも見せられんわ」
「噂程度ならいいけどなぁ。現場ぁ見られたら、俺らもまずいからなぁ」
「そうそう…」
もう、集会所の玄関まで戻ってきてしまっていた。
扉を静かに、一人が開く。ものすごい冷気が、中に入ってきた。
もう一人が、ふざけたような声色で言った。
「ささ、お嬢さん、どうぞどうぞ」
「どこかに行くんですか?」
「どこにも。まだ、ここでやることはあっからな、俺ら」
「?」
その意味がわかるまでには、5分とかからなかった。
「え…あ、あの…ここでですか!?」
積もった雪を踏みしめながら建物の裏に連れていかれたわたしは、いきなり後ろから、コートごと下半身をめくりあげられた。
履いていたタイツが無理矢理、下着ごと一気にずりおろされる。
外の冷気が、一気にわたしの肌を覆った。お尻も太ももも、ものすごく冷たい。
そのお尻に、一人が後ろから顔を押し当てた。
正確には、わたしの股の間に。舌と指が伸びてきた。
「腰、前に曲げなぁ。うまくできん」
片手で背中をトントンと押され、わたしは仕方なくむき出しのお尻を突き出すようにかがんだ。
彼の指が、わたしのつめたくなっていく股間の襞を、左右に開く。
刺すように冷たい風の中、彼の歓声が聞こえた。
「おお、やっぱ綺麗なま●こやぁ。使い込んでないのってやっぱええなあ、こういうの」
続けて、ザラザラした舌が、膣の中に無遠慮に入ってきた。
「ひっ…あっ!?」
早くも部屋の中の熱気はすっかりわたしのからだから失せていた。
寒さに下半身ががたがたと震え始めている。それにも関わらず、わたしはその瞬間、カッと股間に、身体の奥底から湧きだすような熱を感じた。
自分でも、声を出していたことに驚いた。こういう時声が出るものだというのは知っていたけれど、自分一人でしていた時には当然そんなことはなかったからだ。
自分の意思とは関係なく中を這いまわる男性の舌の刺激は、自分の指とはまったくの別物だった。
もう一人の男性が、そんなわたしたちを見ながら言った。
「はは、あんた、初々しくていいなぁ、声」
「あ、あっ…!」
「ここで?って?当然だろが。言っただろぉ、あんたみたいなとやるの、仲間にも見せられんってな」
「あ…!」
「だからなぁ、他の奴らとやるときみたいに、別室でこっそりってわけにはいかん。悪いけど、ここでやらせてもらうわ」
どうやら、わたしの待遇は、他の彼らの仲間―――多分女の子たちのことだろう―――よりも、かなり劣悪なようだった。
でも、わたしはもう、それでもいいと思った。
付き合うわけでもないし、こんな扱いでも、知ったことじゃない。
ただ、今夜中に、わたしの処女を奪ってくれればいい。わたしの中を貫いて、そのことを笑い話にでもしてくれればいい。
それで、わたしの立場は保たれる…
それだけのはずだったのに。
「あ…あっ、あっ!ああ…!?」
何故なのだろう。自分が、不思議だった。
処女を失うことだけが目的だったはずなのに、この時のわたしはそんなこととは関係のない感覚を覚え始めていた。
とろけるほど気持ちいいのだ。部屋で一人していた時のような、嫌な倦怠感はない。
ただ、股間からじわじわとあふれ出してくる気持ちよさに浸っていたい。それは、ずっと感じていた、村のルールに従うという義務感とはかけ離れた感情だった。
「はは、あんたぁ、濡れいいなぁ。マジのスケベだろぉ、これ」
「そ、そんな…違っ…あっ!」
「言い訳すんなや、見苦しいわぁ」
「ひぃぁっ!」
舌が、思い切りわたしの膣の壁をねぶった。
お尻全体に、鳥肌が立つ。でもそれは、寒さ半分、気持ちよさ半分だった。
足が、ガクガクしてくる。
よろめきそうになるたびに、サクサクっ!と、スノーブーツで踏みしめた分厚い雪が、小気味のよい音を立てた。
ち●ちんを直接見るのは、父親のそれ以外でははじめてだった。思ったよりも、怖さは感じなかった。
覚悟を決めていたからかもしれないが、ズボンのチャックからち●ちんをのぞかせた姿は、こんな場でなければ噴き出しかねないほど滑稽に見えたからだ。
「おぉ、寒い寒い…さっさと決めろぉ、これ、長くはもたんぞ」
「わかってるってぇ。ちっと待っててくれや」
「おお、早よ順番回せ」
交わされるその声を、わたしは朦朧としながら聞いていた。
彼らの声には、ひとかけらもわたしへの優しさは感じなかったけれど、もうどうでもよかった。
早く入れて、出して、終わらせて欲しい。その感情が、ただ寒さからのものでないのは自分でもわかっていた。
たっぷりといじられて、わたしの中はもういつでも、男の人のものを受け入れられる状態になっていた。
後ろから腰が掴まれた。ゴムをつけた様子はなかった。
ピル飲んどいてよかった。それが、初体験を目前に控えたわたしの感想だった。どう考えても、初体験直前に抱くような感想ではなかった。
「おしっ、…おおっ…こ、これすげえわぁ!」
「…!」
その瞬間、挿入のショックからか、夜闇に沈んだ森の雪景色が、わたしの目に写真のように焼き付いた。
その風景が、ブレたように震え始める。
はじめてのセックス。中に押し込まれたち●ちんは、ものすごい速さでわたしの中をえぐった。
はじめて、膣の中に痛みを感じた。
それほどの痛みではなかった。でも、それを感じたということは、やっぱりまだ処女膜は破れていなかったんだろうか。
いずれにせよ、わたしの中を貫いたち●ちんは、一向に止まる気配をみせなかった。
射精だけを目的とした動きなのは、わたしにでさえわかる。それほど荒々しい動きだった。
でも、構わなかった。
ああ、これで、わたしは救われる。今までみたいに、村の視線に引け目を感じずにすむ。
そう思いながらも、膣に猛烈な力が入っているのがわかっていた。意思とは無関係に、男性のち●ちんをしっかり締め付けている。
まるで、離さないとでも言わんばかりに。
「ん…?おい…処女かよぉ!こいつ…」
「マジ?」
「血ぃでてるわぁ、下、見てみ」
「んなこと知らねえよ、こいつのま●こ、やべえわっ!」
「さすが初物ってかぁ?おい、早くイってくれよぉ」
「言われんでも持たんわっ!」
奥まで、届いていた。
まるでお腹そのものが持ち上げられるような動きに、わたしはもう痛みを感じていなかった。
真面目に訓練してきた成果はあったのかもしれない。
わたしは、はじめてだというのに、もうハッキリと快感を感じていた。
両足が、自分のものではないみたいで、バランスがうまくとれない。男性が腰をがっしり掴んでくれているから、立っていられただけだ。
「あっ!あ…あっ!」
「ヤべえ子だなァ、最初っからこれじゃあ…どっか壊れてんじゃないかぁ」
待ちに入っているもう一人の男性のヤジも、どうでもよかった。
「お、おっ…きたぁっ…おい、準備しとけ、もうでるぞっ」
「おっけえ…」
「あ、あああっ、…あ―――――っ!」
どっくんと、ち●ちんから何かがわたしの中に発射されるのがわかった。
もちろん、それがなんなのかは知っていたけれど、それが何という名前だったか、その一瞬の間だけ、なぜか思い出せなかった。
腰が砕けるような感覚がわたしを襲い、それが足全体に広がっていった。それが広がり切ったところで、わたしはようやく、自分の中に精液が放出されたことを認識した。
何度か身体をゆすった後、すぐに男性はち●ちんをわたしから引き抜いて、身体を離した。
腰の支えがなくなって、わたしはその場によろよろと座り込んだ。
途端に、足元の雪の冷たさが、膣全体に広がり、一瞬で麻痺させた。
それでも、身体の中の快感は全く消えなかった。
「おいおい…ほら、立てよぉ、もう一回、踏ん張ってもらわなきゃなぁ…」
もう一人の男性は既にわたしの側に立って、おなじようにち●ちんを出していた。
顔の前に突き出されたそのち●ちんは、少しだけ、さっきまで入っていたち●ちんとは形が違っていた。
どこがどうとは言えないけれど…
わたしはよろよろと立ち上がって身構えた。
かなり乾いた雪だったのが幸いして、服が濡れたという感覚はなかった。
それから、何とか身構えた。下をみて、その時わたしははじめて、足元の雪に点々と、自分の血が落ちていることに気づいた。
よくみると、その血にまざるように、雪の白さとはだいぶ違う汚らしい液体が、どろりと溜まっていた。たぶん、あれが精液なんだろう。わたしの中に出た、男性の精子。
「いい子だぁ…おらっ!」
「あっ!」
勢いよく挿入されて、わたしの意識は雪の上の血と精子から無理やりに切り離された。
今度は、最初からものすごい快感がわたしの入口に伝わった。
それが、ち●ちんが入ってくるのとあわせて中へ、奥へと広がっていく。
ついさっきまでかきまわされた中は、二本目のち●ちんもわけなく受け入れた。
それでも、微妙な形の差か、伝わってきた快感はかなり違った。
「ははっ…お前言ってた通りだわ、このま●こ…いいわぁ!」
「ああんっ!」
スピードも勢いも、さっきまでの男性以上だった。
身体がぶつかる、パン、パンという音が、雪の降り積もった暗い森の中にこだました。
「おっ、おっ、おっ…こりゃすごい…」
「んっ…あんっ、あっ…!」
声が止まらない。もう、義務感とかよりも犯されている、そのことの方にすっかりわたしの意識は奪われていた。
今度の男性も、射精だけを目的にした動きだったけれど、わたしの快感の高まりも、それと同じくらい早かった。
「んっ、こ、こりゃたまらん…中に出すぞっ!」
「ん―――っ!」
「うっ」
もう一度、今度はさっきまでよりも勢いよく、膣の奥の肉に男の人のお汁が激しくぶつかるのが分かった。
それが、わたしのお汁とまじりあっていくのを想像したとき、わたしははじめての、なにかがあふれ出すような感覚を味わった。
また、何度か腰を振ってから、男性はわたしから身体を離した。
今度こそ、わたしは倒れ込みそうになった。股間にジンジンするものを感じる。そして、それ以上に急激に、眠気が襲ってきた。
これまで、感じたことがないような猛烈な眠気だった。
絶頂と、これまでのプレッシャーからの解放感が重なったせいかもしれない。
「ほら、立てよ。ここで凍死されたら、疑われるの俺らだからなぁ」
既にち●ちんをしまい込んだ、男性の声がした。その瞬間、眠気ですっかり緩み切ったわたしの身体から、黄色い液体が噴き出した。緊張がゆるんだのもあったし、なによりはじめてで激しく突かれたことで、膀胱までが調子が狂ったのかもしれない。真っ白な…いや、わたしの血と男性たちの精液で汚れてはいたけれど…雪の上に、まるでかき氷にシロップでもかけるかのように、大量のおしっこが湯気を立てながら飛び散った。
「うおっ…おもらしかぁ。そんなに気持ちよかったかぁ」
わたしは返事を返す元気もなかった。わたしの熱いおしっこはしばらく止まらなかったけれど、その温度差でもこんもり積もった雪を溶かしきるには至らなかった。
玄関までは、肩を貸してもらった。
集会所に入るなり、わたしは上着も脱がずにストーブに駆け寄った。冷え切っていたのだ。それでも、徐々に身体は温まってきて、気分が悪くなるようなことはなかった。
ただ、眠気はますますひどくなってきて、そのままわたしは眠ってしまった。
目覚めたら朝になっていた。
わたしを犯した二人は、もう姿が見えなかった。彼らの言葉どおりなら、あの後有志の女性を交えて、どこかで乱交したんだろう。
どうでもよかった。わたしが初体験を済ませたという事実には変わりはない。
身支度を整えて、わたしは家に帰った。
まだ中に男性たちの感覚が残っていて歩きづらかったけれど、快感はもちろんもう去っていた。
だから、わたしはもう冷静に戻っていて、本来の、処女を失うという目的を果たしたことに意識がいっていた。
経緯が経緯だから両親には直接言いづらいけれど、でも、今までの例を考えたら、すぐに噂は立つだろう。
彼らがそんなに口が堅いとも思えない。
そうなったら、多分両親は喜んでくれるだろう。もちろん村の人たちだって、わたしを一人前とみなしてくれるに違いない。
この時までは、わたしは本気でそう思っていた。
満足感に浸りながら、わたしは家に帰った。両親は、何も言わなかった。
お風呂に入り、膣の中を洗うと、どろりとした液体がまだ出てきた。わたしはこれまでとは少し違う気分で、はじめてお風呂の中でオナニーした。
結果から言うと、わたしは目論見通り、一人前とみなされた。噂は予想通りすぐ流れ、わたしは優等生としてのプライドを守れたのだ。
ただ、親の反応は違っていた。噂を聞きつけた父親と母親は、ふたりして苦虫をかみつぶしたような顔をした。
あれだけ私に暗に要求しておいて理不尽なものだけれど、やはりそこは親としての感情だったのだろう。
ただ、二人は何も言わなかったし、叱られたりもしなかった。多分、その資格が自分たちにないことくらいは、わかっていたと思う。
そして、周囲の反応にしても、かなり予想とは違ったものになった。
確かに一人前にはなれたのだけれど、同時に予想外のイメージがついてしまったのだ。考えてみたら仕方のないイメージだったけれど。
初体験から声を上げて感じる、いやらしい女の子。それがわたしについた、新しい人物像だった。
からかわれることや言い寄られることが増えて、わたしは戸惑った。
なんでだろう。わたしは、まわりの要求に、従っただけなのに。
でも、事実は事実として、わたしはすっかりそういう子として認知されてしまい、それを塗り替えることはできなかった。
わたしが村を出たのはそれから数年後のことだったけれど、それまでに二人ほど、後輩を食べた。
食べたというのは正確ではないかもしれない。向こうからお願いしてきたから、先輩として請け負ってあげたのだ。その頃には、わたしはもうすっかり人間不信に陥っていて、ヤケになっていたから、そんなことはどうでもよかった。
彼らがわたしの中で気持ちよさそうに射精するのを眺めながら、なぜこうなっちゃったんだろうとわたしは一人で考えていた。
学校を卒業すると、わたしは早々に村を去り、上京した。居心地はもう最低だったから、未練はなかった。上京の日、わたしはかつて幾度となく願掛けした、あのお地蔵さんに心の中で話しかけた。
(行ってきます。多分これからは、ほとんど帰ってこなくなると思うけど…。世の中、うまくいかないね)
お地蔵さんは、当たり前だけれど、ほほ笑んだままで表情を変えることはなかった。
それからわたしは、ごくたまの帰省以外は一切村に寄りついていない。
上京の時点で憤懣やるかたない思いはあったけれど、それ以上に価値観が変わったのが大きい。
一旦外に出てしまうと、入ってくる情報量がこれまでとは全然違う。結果的に、まるでスイッチを切り替えるかのようにわたしの価値観は上書きされていった。
そうなってはじめて、わたしははっきりと実感したのだ。
自分がやったことが、あの村で当たり前だったことがいかに変だったか。
そう気づいた時の精神的なショックは、初めて挿入されたときの肉体的なショックなんてかわいく思えるほどの、痛いものだった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++
現在、わたしには彼氏がいる。もちろん、上京してからできた彼氏だ。
でも、彼氏を実家につれていったことはない。
それどころか、縁を切ったと嘘をついている。
万が一にも、あの村の文化に彼を触れさせるわけにはいかない。
もしそうなったら、彼がわたしの過去の行いを知るまでには時間は要らないだろう。
なにしろ、わたしがやったことは、いまだにあの村では噂としてたびたび語られているのだから。
もちろん、全体をみれば、それほど悪い子供時代だったとは思わない。
あんなことになるまでは、わたしはそれなりにいい環境にいたとは思う。でも、それを考慮にいれても、今のわたしは故郷とあの時代の自分に対して、後悔しか感じない。
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